3 燈子の日常

4/6
3488人が本棚に入れています
本棚に追加
/343ページ
 実は。  燈子は今日、バイトの面接を受けるコトを、夫の秋人にナイショにしていた。  そもそも彼の年収は、燈子にとって、目玉が飛び出るほど高い。  かつての自分のそれと比べると、泣きたくなる程の差がある。    ではナゼ、金銭的には必要がないバイトなど始めるのか。 ① 自由に使えるヘソクリが欲しい。 ② 貧乏性なので、働いてないと落ち着かない。 ③ 一人で家にいても寂しい。 ④ ヒ・ミ・ツ。  正解は、この全てだ。  ちなみに④も別に後ろ暗いものでなく、至って正当な理由である。  しかし、燈子は知っている。  経験上、彼に真っ正直に 『バイトがしたいです』 などと告げたなら……  ものすごく面倒クサイことになるコトを。
/343ページ

最初のコメントを投稿しよう!