3 燈子の日常

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 普段の彼は、誰よりも冷静沈着。  外に一歩踏み出せば、たちまち抜け目のない野心家の顔になる。  事実、北九州支社にいるときは、容赦ない英断でバッサバッサとムダを切り捨て、社内外に畏れられていた。    しかし、この2年間の結婚生活で、燈子は思い知った。  彼は家に帰った途端。  甘えん坊の駄々っ子に、早い話アホと化す。  こと燈子に関しては、正常な判断力を失ってしまうのだ。 _自分で言うのもカナシイが。  22~24歳という、最もモテる筈の時期に何もなく、彼ナシ3年間を過ごしていた私が。  今さらモッテモテになって、どこかしこの男性に声をかけられたりする訳がないじゃないですかぁ!  ハッキリ言って、彼の心配の殆んどは杞憂に過ぎない。  それだけ愛してくれてると思えば、嬉しい限りなんだけど…  九州では、ワガママが発動する度に彼のお姉さんがシバいてくれたから良かったものの、東京(ここ)では一人で闘わねばならない。  彼に告ぐ。  私とて、カゴのトリではぬぁい!__  決意を胸に、燈子はグッと拳を上げた。 _でも恐いから、やっぱナイショでやる_
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