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「あ~~っと、それより秋人サンこそルンルンじゃないですか」
クロゼットに向かう背中を追いかけながら、燈子はサラリと話題を転じ、誤魔化した。
「ああ、今日、訪問先の商談が整った」
「ほうほう、それは何より」
_良かった、遅刻しなかったんだ_
今朝のことを思い出しながら、燈子は彼が外したネクタイと上着を受け取った。
秋人は、フーっと溜め息を吐いて髪を掻き上げた。
_オオっ!_
実は燈子、
開襟シャツの肌けた瞬間の彼の色香が堪らない。
なので貞淑な妻を演じているのでも、亭主関白をされている訳でもなく、自ら進んでコレをやっている。
彼女は日頃秋人をヘンタイ呼ばわりしているが、自身のフェチズムもかなりのものだった。
「来月の役員会のな、
……ほんの “手土産” さ」
「お土産ですかあ。いいな~」
その意味がよく分からないまま、燈子はニコニコと相槌をうった。
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