プロローグ

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「……ってか、  いい加減にしてくださいよ~~。  今朝は、会社の人が迎えに来てくれるんでしょ?」  そう。  ここは満員電車などではなく、れっきとした自宅玄関先である。  男の名前は大神秋人(オオガミ アキト)、この家の主。  そして呆れた声で嗜めた女は、大神燈子(トウコ)、彼の奥さんだ。  つまりこれは、2人が新婚当初から懲りずに続けている恥ずかしい儀式、 『行ってきますのチュー』  を執り行ったところ、エスカレートしてしまった果ての痴漢プレイであった。 「オマエが悪いんだっ、  朝っぱらから、そんな短いパンツで俺を誘惑するから!」 「はぃ?これはただのファッションで、そんなツモリでは……  あっ、もう…ダメだってばっ…ぁ」  ダマレとばかりに秋人が燈子のウィークポイント、耳を攻め始めた時だった。  ♪ピンポーン♪ 『常務、常務ぅ~~。  遅いっすよ、まだっすかぁ~!』  部下の声が、ドアホンから聞こえてきた。 「…ちっ」  
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