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「さあさ、柏木奥様。大神奥様が困ってらっしゃるわ。
さ、そろそろお開きの時間。
ここのデザートは最高よ?」
まだイジり足りず、消化不良といった感じの奥様方を、ショートヘアの美人が手を打って制した。
場を仕切っているこの女性は、光仲専務サンの奥様。
どうやら、助け船を出してくれたようだ。
しかし燈子はすっかりショボくれて、もう何も聞かれないよう、高級デザートに夢中なふりをした。
ハア…
_かつて社員だった私は、口さがない噂話をイヤというほど耳にしていた。
ここにいる奥様方の夫、つまり重役の殆んどが、誰かしらとの噂がある。
例えば、柏木常務は会計主任の宮原女史と長いこと付き合っているし、光仲専務は、マーケティング戦略のキャリア、春貝チーフとデキていると専らの噂だった。
ウチのオープンスケベとムッツリスケベ、一体どっちがマシなんだろうか__
下らないコトを考えながら、燈子はすっかり味のしなくなった高級デザートを、口の中に詰め込んだ。
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