3499人が本棚に入れています
本棚に追加
_う~、食べた気がしないよ_
柄にもない場所に出て緊張しすぎたようだ。
右に左にヨロケながら、燈子はトボトボと帰路を歩いていた。
すると突然、背中から声を掛けてきたヒトがいる。
「あの…大神さん?」
「あ、光仲……奥様」
燈子は光仲夫人に連れられて、通りのバーガーショップに入った。
「いやあ、ハンバーガーってサイコーっすよね~~?」
ビックサイズのセットを猛然と貪る燈子を、唖然として光仲夫人が眺めている。
「でもちょっと意外です。光仲奥様が、マックだなんて」
「あら。私大好きよ。手っ取り早い栄養補給だわ。
あとさ、その『奥様』止めない?ダンナの付属品みたい」
光仲夫人は上品にオレンジジュースを嗜(たしな)んだ。
「あ、ふみまへ…ぶはっ!」
光仲夫人は、噎(む)せかえっている燈子を見、柔らかく微笑んだ。
最初のコメントを投稿しよう!