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「ゴメンなさいね。
悪気はない人達なんだけど……
ちょっと退屈してるのよ。
アナタ、途中から元気無かったから……」
ハスキーな鼻に懸かったような声は少し男性的で、私の耳に心地好く響く。
にしても、
わざわざそれを言うために追いかけて来てくれたのだろうか。
ならば、なんていい人なんだろう。
「いえいえ、お気になさらず。
オナカ空いちゃってて…」
「ならいいけど?」
バーガーを食べ始めた彼女を、燈子はマジマジと見つめた。
よく見たら、スゴく綺麗なヒトだ。
ショートヘアが似合う小顔には、ハスキーボイスがよく似合う。
上背の高さはまるで宝塚の男役みたいで、小柄な燈子には羨ましい。
彼女は社長の姪っ子で、生粋のお嬢様なのだと聞いていたが、
“深窓の令嬢”
という雰囲気ではなくむしろ勝ち気で、男勝りな印象だ。
煙草を吸うのか、コロンに微かにスモーキーな香りが混じっていた。
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