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_でも……
奥さんがこんな素敵な人だって、光仲専務という男(ヒト)は浮気をするのだ。
ならばウチのダンナ様は、もっとするに違いない。
男の人って、よく分からない__
「何?」
「あ、いやその…
もう1個、頼もうかな~なんて」
つい変な目で見てしまった。燈子は慌てて目線をメニュー版に移した。
あからさまに目を逸らした燈子を見て、光仲夫人はクスリと笑った。
「…いいかしら?」
バックから、シガレットケースを取り出した。
ここは喫煙席だし問題ない。燈子はコクリと頷いた。
彼女は気だるい様子で紫煙を吐き、まるで燈子の心を見透かしたように呟いた。
「バカよね、男。見栄を張るのにいつも必死。悪気がないのが厄介よねぇ」
「……ハイ」
それから彼女は、独り言のように呟いた。
「周りがきちんと見えないくらい、一生懸命なんだから。
助けてあげなくちゃね。ショボくれちゃったら可哀想」
ゆっくりと流れる煙を目で追いながら、燈子は考えた。
_ああこの人は、解ってるんだ…
それでなお、側で支えてあげようとしてる。
私は、こんな完璧な人の足元にも及ばないけれど。
心に抱えるわだかまりは、共有できるのかもしれない。
もう少し仲良くなれたら一度聞いてみたいな。
“オープンスケベとムッツリスケベ、どちらがマシですかね?”__
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