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7 明日は休日
「ただいま」
いつもどおり玄関扉を開けた秋人は、妙な違和感を感じた。
_あれ?
いつもならユルんだ表情をした燈子がダッシュで飛び付いてくるはずなんだが_
今日に限って玄関は真っ暗、返事もない。
訝しく思いながらも玄関の灯りを点ける。
奥へと進んでいくほどに、最初に感じた違和感は確信に変わった。
彼女の気配が……ない。
にわかに緊張が高まり、動悸が胸を打ちはじめる。
燈子、居ないのか?
「燈子?」
秋人は駆け足でリビング、ダイニングと順次彼女の名を呼んでいった。
「燈子!」
バスルーム、トイレも真っ暗だ。
ベッドルーム。
「とう…」
ドアを開けた秋人は、その場に立ち尽くした。
奥さんが
死んでいる。
大の字に、恐怖に目をかっと見開いて、口の端には血糊が……
「う…そだ…ろ」
持ちっぱなしだったカバンをドサリと床に落とす。
「と、燈子ーー!!!」
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