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一悶着はあったものの。
「じゃあ今夜は、久々に2人で祝杯とでもいくか。
互いに上手く乗り切ったって事で」
元々機嫌が良かった秋人は、にこやかに燈子を誘った。
「いいの?疲れてるんじゃ…」
「構わないさ。明日は休日だ」
燈子の顔にパアァッと喜びが広がった。
「久々の……夜デートですね!
ではでは、さっそく準備をして参ります」
ヒャッホウ!
奇声とともにベッドからピョイと飛び降りた燈子。
しかし秋人は、ベッドに残っていた彼女の右腕を掴んだ。
「待った、燈子」
「?」
燈子が振り返って首を傾げる。
「『おかえり』がまだだった」
「わわっ」
驚く燈子をあっと言う間に自分の側に引き寄せて、目一杯に抱き竦める。
「も~、甘えんぼの…秋人…さん」
彼の手にじわりと力が込もる。
秋人は、腕の中でじっとしている燈子を覗き込むと、フッと安堵の息を吐いた。
甘えんぼだって?
生意気な。
だってきちんと確かめときたいだろう?
柔かくって暖かい、確かな存在を。
本気で心配したんだからな。
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