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「……ん、ん~」
「大丈夫か、君」
彼女が目を覚ましたのは___
秋人が、仕方なく彼女を来客用のソファに寝かせ、後ろ頭の打った所を確認しようとした時だった。
「き、きゃあああああーー!!」
パッチリと目を開けた彼女は、間近に秋人の顔を確認すると、金切り声を上げて後ずさった。
「おおお、お許し下さいっ、大神常務。
わ、ワタシはまだ処女なんですっ!
ファーストキッスもまだなんですっ」
何を勘違いしているのか。
恐怖に引きつった顔で、瞳には涙さえ浮かべている。
「ば、バカ。誰もお前なんか襲わない。
こ、こら、静かにしないかっ!!
だいたい俺はこういう時に限って…」
間が悪いんだ!
秋人が慌てて手で彼女の口を塞ごうとしたその時だ。
「大神常務~、さっき言われた稟議ですけど……あ、すんません」
ほら、思った通りだ。
こういうときに限って、ノックをする習慣のない無礼な奴がやって来る。
パタンとドアを閉じ、急ぎ足で去ろうとした部下を、秋人は大声で呼び止めた。
「ま、待てっ沖本!」
彼の思いはただ1つ。
副社長が………怖い!!
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