8 常務のお仕事

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「ひとつ美嶋に言っておく。 いいか?挨拶の時、相手を凝視するな」  秋人は自分の胸をトンと叩いた。 「挨拶は、相手のこの辺りを見なさい。それでまず、卒倒するまで緊張はしない」 「よ、出た。大神常務のお説教!」  沖本係長が、すかさず茶々を入れた。 「うるさい。 ……美嶋、返事は?」 「は、はいぃっ」 「それからな」 「あっれぇ? ひとつって言ったのに?」 イチイチ茶化す沖本をジロリと一瞥すると、青い顔をしてさっと黙った。 「化粧くらい、ちゃんとして来い。 人前に出るのに今時は男だってする時代だ。  それにその眼鏡と服装、おそらく万人受けはしないし、少なくとも俺は好みでない。  姿形を変えればちょっとは自信が付くものだ。  今日は秘書課に戻ってこれらを研究してくること。以上……返事は?」 「は、はいっ!」
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