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「ひとつ美嶋に言っておく。
いいか?挨拶の時、相手を凝視するな」
秋人は自分の胸をトンと叩いた。
「挨拶は、相手のこの辺りを見なさい。それでまず、卒倒するまで緊張はしない」
「よ、出た。大神常務のお説教!」
沖本係長が、すかさず茶々を入れた。
「うるさい。
……美嶋、返事は?」
「は、はいぃっ」
「それからな」
「あっれぇ?
ひとつって言ったのに?」
イチイチ茶化す沖本をジロリと一瞥すると、青い顔をしてさっと黙った。
「化粧くらい、ちゃんとして来い。
人前に出るのに今時は男だってする時代だ。
それにその眼鏡と服装、おそらく万人受けはしないし、少なくとも俺は好みでない。
姿形を変えればちょっとは自信が付くものだ。
今日は秘書課に戻ってこれらを研究してくること。以上……返事は?」
「は、はいっ!」
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