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ションボリと肩を落とし、ペコリと頭を下げて部屋を去ろうとした彼女を、秋人はもう一度引き留めた。
「あ、ちょっと待って」
ポケットから小銭入れを出すと、彼女の小さな掌にそれを握らせた。
「初任務だ。コーヒーを3本、フロント行って買ってきて」
「はっ、はいっ!」
(おっ…)
一瞬嬉しそうに、パアッと花が咲いたように彼女は笑った。
それからナゼか警察官のような敬礼をし、もう1度頭を下げて、脱兎の如く駆け出して行った。
数分後。
「………おい」
「な、何かまずかったでしょうか?」
後ろで沖本係長が腹を抱えて笑っている。
「コーヒーと言ったんだ、コーヒー。
『ミルクたっぷり激甘カフェオレ』ばかりを3本買ってくる奴があるかっ!」
「すすす、すいませぇん。大好きなんです……これ」
額に手を翳しながら、秋人は天を仰いだ。
_やはり松嶋のヤツ、とんでもないババを俺に掴ませやがった_
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