8 常務のお仕事

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 ションボリと肩を落とし、ペコリと頭を下げて部屋を去ろうとした彼女を、秋人はもう一度引き留めた。 「あ、ちょっと待って」  ポケットから小銭入れを出すと、彼女の小さな掌にそれを握らせた。 「初任務だ。コーヒーを3本、フロント行って買ってきて」 「はっ、はいっ!」  (おっ…)  一瞬嬉しそうに、パアッと花が咲いたように彼女は笑った。  それからナゼか警察官のような敬礼をし、もう1度頭を下げて、脱兎の如く駆け出して行った。  数分後。 「………おい」 「な、何かまずかったでしょうか?」  後ろで沖本係長が腹を抱えて笑っている。 「コーヒーと言ったんだ、コーヒー。 『ミルクたっぷり激甘カフェオレ』ばかりを3本買ってくる奴があるかっ!」 「すすす、すいませぇん。大好きなんです……これ」  額に手を翳しながら、秋人は天を仰いだ。 _やはり松嶋のヤツ、とんでもないババを俺に掴ませやがった_
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