3504人が本棚に入れています
本棚に追加
と、向こうからやって来たビジネスマン風の男が席に座るのが見えた。
こんな雨の昼下がりに珍しい来客だ。
「ちょっと行ってくるね。厨房をお願い」
「オッケー」
たまに注文を聞き間違えるパナさんを気遣い、燈子は注文へと走る。
「いらっしゃいませ、ご注文は如何いたしましょうか?」
キュートスマイルで腰を折る。
燈子は、こういうのが結構好きだった。
お客さんは何だか酷く迷っているようだ。
「う~ん、チーズケーキセットにしたものか、それともイチゴショートにするか…」
燈子は珍しくてついマジマジと、その様子を見つめた。
端正なお顔の男の人なのに…
クスッ、
なんだかちょっとカワイイかも。
しっかしこの人、どこかで見たような…
と、視線に気付いたのか、彼がメニュー表から顔を上げた。
しまった!
思ったのも束の間。
彼は燈子の顔をじっと凝視し、首を傾げた。
「……あれ?
君、確か大神君の…」
「あ、あなたはもしや」
言われた燈子は驚いた。
「み、光仲専務ではないですか!」
最初のコメントを投稿しよう!