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再び、現在の車内。
「そう言えば大神常務、来週が初の役員会っすよね」
「ああそうだ、5月1日、GWの中日が初顔合わせになる。
何だ、情報が早いじゃないか」
青い顔をしてシートに寝そべっていた沖本は、跳ねるように起き上がった。
「へっへ~。
ちなみに、常務は誰派に付く気なんすか?教えて下さいよ。
副社長?専務?
それとも…穏健派の人事部長…とか?……ウワワッ!」
キキーーィッ
タイヤの摩擦音とともに。
スプリングの悪い社用車で、沖本の身体が大きく揺れた。
秋人が急ブレーキをかけたのだ。
「…料金所だ」
再び緩やかに発進させながら、秋人は冷ややかに答えた。
「誰に頼まれたのか知らないが。
どっちにしろ、オマエみたいな口が軽いのに話す気はない」
「はは……そっスよ…ねぇ」
沖本は額の冷や汗を拭うと、気まずそうに車窓に目を移した。
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