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4 甘い日常
夜。
秋人はいつも、きっかり9時に帰宅する。
「ただいま」
玄関先で待つこと少し。
ややあって、
「おっ帰りなっさ~~い」
ハイテンションな声とともに、廊下の奥からダダダッと軽い足音が響いた。
薄明かりの廊下から、燈子は秋人に突進すると、いい感じに首のあたりに抱き着いた。
新婚当初から2人が飽きもせず続けている恥ずかしいセレモニー
『おかえりなさいのハグ』
である。
「おっと」
秋人は胸で燈子を抱き止め、鞄を置きながらキスをした。
「ん…」
あまり長くすると今朝の事態になりかねない。
燈子はピョイッと彼の胸から飛び退いた。
「はっはっは。どうした?
今日はイヤに機嫌が良いじゃないか」
「イヤァ、よく分かりますね~、ダンナサマ。実はねぇ、今日の面接が上手くいって…
あわわ」
「はぁ?メンセツぅ?」
靴を脱ぎ終えた秋人が、訝しげに燈子を覗き込んだ。
「いえね、メンのセウス(ソース)が上手くいって」
「?日本語がおかしいぞ?」
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