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そこで出会う人々も様々でした。
にこやかに挨拶をしてベスを撫でてくれる娘もいれば、草臥れた旅装を見て罵ってくる輩もいました。
詐欺や掏摸に遭いそうになったこともありました。
旅の話をせがむ代わりに食事を奢ってくれる人達もいました。
場所によってはガイドを頼むこともありましたが、最後はやっぱり二人きりでした。
おじいさんは焚火の火を見つめ、今日その日に見た景色、出会った人、感じたものを思い返しながらベスに語りかけます。
ベスはおじいさんの膝にあごを載せ耳を澄ませます。
ゆったりとしたおじいさんの声は優しく夜の闇を震わせ星を煌めかせました。
夜が更けるとおじいさんはおやすみと言って、ベスの頭を軽く撫でてくれます。
その手の暖かさでベスは安心して眠りの底へ落ちていくのでした。
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