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朝、おじいさんを起こすのはベスの役目の一つです。
けれどその日はいつもと様子が違いました。
おじいさんが何処にもいないのです。
テントの中にも火の落ちた焚火の側にも何処にもいないのです。
こんなことは初めてでした。
ベスはあちこちを探して回りました。
けれどおじいさんは見つかりません。
海辺にはいないのだと悟ったベスは街へも行ってみました。
けれどベスは街の中へは入れませんでした。
街人がベスを見るなり追い払ったり石を投げたりしてくるのです。
驚いて仕方なく海辺へ戻ろうとしましたが、その道中ですれ違う人にも忌むような目で見られベスは哀しい気持ちになりました。
ベスは知りませんでした。
今までこんな目に遭ったことはなかったのです。
それはいつもおじいさんが一緒にいてくれたからだったのです。
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