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水平線に真っ赤な太陽が沈んでいきます。
ベスは海辺のテントの前に座り込んでいました。
ここにいればおじいさんが帰ってくるかもしれません。
一晩中、ベスは待ち続けました。
日が昇ってもおじいさんは現れませんでした。
また日が沈んでは昇ります。
月が満ち、欠けていきます。
海辺へは時々人が来ました。
足音を聞くたびにはっとしますが、大抵は街の人か旅人でした。
彼らもベスを避けて近付こうとはしませんでした。
ベスはテントの前から一歩も動きませんでした。
一睡もせずに朝も昼も夜もただひたすらに待ち続け、次第に衰弱していきました。
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