眠る姫と僕の習慣

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翌週の火曜日。 授業が終わってからゆっくりと教科書を片付け、カバンを持って図書室に向かう。 図書室の前まで来ると、足音を忍ばせて入口に近づく。 静かにその入り口を開けると、いつもの場所に彼女は…いた。 既に眠りについている。 もはや僕の定位置と化した彼女の対角に座ると、今度は図鑑では無く分厚い小説を広げ、一行も目を通さずに彼女の方に視線をやる。 相変わらず可愛い。 別に寝顔フェチだという自覚は無いはずなんだけど、どうしてか彼女の寝ている姿には目を惹かれてしまう。 でも、今いるのは対角。 もう少し近づきたいけど…近づいて起こしたら気まずい。 そもそも、ただ近づくっていう度胸はない。 何かきっかけでも作れれば…。 「ん…ぅ…」 昨日と同じような時間に体を動かした彼女。 僕も慌てて視線を本に…逆さまだった本を正し、真剣に読んでいるフリをする。 視線の端で彼女が動いている気配。 何となくドキドキしていれば、やがてそれは止まった。 ゆっくりと視線を戻せば、彼女はまた寝ていた。 さっきとは少し体制を変え、額をそのまま机につけるようにしていた。 痛く無いのかな。 いつも腕を枕にしてるけど…それでも痛いと思う。 ましてや机なんて。 心配しながら見続けて1時間程。 僕以外には無駄とも思えるような時間もあっという間に過ぎ、そろそろ帰る時間になった。 一時的に借りた本を元の場所に戻す。 適当選びすぎて、どこにあったかもあいまいだ。 ようやくそれらしき場所を見つけ、本をしまう。 今日は受付の人もいなかったけど、こんなので大丈夫なのか、この図書室。 図書委員の体制を心配しつつ、カバンを置いてある席に戻る。 「ん…ふぁ…」 そこで僕は一瞬で冷や汗をかいた。 彼女が体を起こしていて、片方の手の甲で目をこすりながらあくびをしていた。 僕は何かを考える前に、自分のカバンを置き引きするかのように取って図書室を飛び出した。 そのまま昇降口まで全力で走り、やっと歩きに変更する。 大丈夫、顔は見られてない。 証拠も何も残さなかったから平気だ。 そんな悪いことをした後見たいな事を考えながら、早い鼓動を落ち着けながら帰路に着いた。
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