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そして翌週の火曜。
楽しいことがあると、時が過ぎるのは早い。
そんな事を考えながら、図書室のドアを開ける。
「……」
「…ふふっ」
いつもの場所に居る彼女を見つけ、つい笑いがこぼれて両手で口を塞ぐ。
それもしかたない。
前回僕があげた、小さい枕を使ってくれていたんだから。
誰からの贈り物か分からないにもかかわらず、彼女はその枕に頭を乗せて寝ている。
心なしか、いつもより幸せそうな表情に見える。
僕の特等席に座り、寝ている彼女を眺める。
しっかりと本を手に持つ事は忘れない。
顔を完全にこちらに向けていて、無防備で寝ている彼女。
ピンク色の小さな枕が、彼女のやわらかい印象にピッタリだと思えた。
それを眺めている僕はかなり幸せを感じていた。
自分の上げた物をあんなに大切そうに抱いてくれるんだから。
それにしても、幸せそうだ。
そんなに気持ちいいのかな。
あまりにもいい寝顔だった為に、僕は一度本を置いて、彼女と同じように机に頭を乗せてみた。
…そんなに寝心地はよくないな。
でも、この図書室の匂いと、窓からさす夕日が何となく心地いい。
彼女と僕は机の対角に座っている為、こうして机に頭をつけて彼女を見ると逆さまになってしまう。
どうもそれが気持悪くて、僕は今座っている席の対面に移動することにした。
それからさっきと同じように寝てみる。
椅子2つ分の距離があるのに、すごく彼女と近づいた気がする。
僕の心臓も跳ねている。
てか…心臓うるさい。
彼女が起きたらどうすんだよ、静かにしろ。
そんな事を思って、起きてしまったらどうしようとか考えたら更に心臓がうるさくなった。
とりあえず、これ以上意識しないようにと目を閉じることにした。
これで彼女のことを意識しなくてすむ。
…ん?
じゃあ何でこっち側の席に来たんだろう。
意味無いな。
でも目を開けたら彼女がいるんだよな。
ってか、もし今彼女が起きてたら、僕の事をどうおもうかな。
びっくりするだろうな。
目があったら気まずい。
やっぱり今は目をつぶったままにしておこう…。
…どのタイミングであけるか。
彼女が帰るまで待つか…?
いや…それだと結局僕の存在が…ばれる…。
でも…えっと、じゃあ…。
ああ、そうだ。それなら………。
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