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翌週の火曜日。
図書室に向かって歩く。
今日は彼女に栞を返すんだ。
それと、今までつきまとってたことを…つきまとってはないけど、謝るんだ。
その強い決意とは逆に、しずかーに図書室の扉を開ける。
そこには、久しく寝ている彼女の姿があった。
僕があげた枕を頭に置き、読んでいただろう本を片手に持ったまま寝ていた。
僕は意を決して彼女の直ぐ隣に座る。
彼女はそれだけでは起きなかった。
しっかり話したくて起こそうと考える。
しかし、その寝顔を見たら起こすのが忍びなくなってしまった。
この寝顔も見れなくなるのは、とても残念だ。
…ふぅ。
……よし。
このまま、彼女に言う練習をしよう。
ヘタレたんじゃない。
練習は必要だろ?
とか言いつつ、本音は寝顔を見ていたいだけだが。
「…えっと、真姫、さん」
彼女の名前は、栞と一緒にあった手紙の裏に書いてあった。
苗字は書いてなかったので、いきなり名前で呼んだのは許して欲しい。
「今まで、ずっと君のことを見てました。本を読むフリをしながら」
思い返さなくても、ほとんどストーカーだよな。
「思わず買ってしまった枕を使って貰えたのは、すごく嬉しかったです」
今も抱くようにして使ってくれている枕。
それだけはこれからも使ってもらえたら嬉しいな。
「彼氏が…好きな人がいるのに、隣で勝手に寝たりして、ごめんなさい」
もしその人に見つかって誤解とかされたら、今より最悪だっただろうからな。
「もうここには来ません。だから、安心して寝てください」
「ん……」
突然彼女の体が動いて驚き、心拍数が上がる。
あれ…練習なのに頭が真っ白になってる。だめだ、落ち着く為に目をつぶろう。
「あ、え、えっと…さ、最後に、これ、前に忘れていったしおりと手紙です。中は見ていませんのでご安心を」
ここで栞を返す算段だけど…なんだご安心をって。
落ち着けよ。
「さ、最後に…好きでした。ありがとう。ごめんなさい。さようなら」
最後が2回あったとかよりまえに…俺何言ってる。
何で最後に告白した。もうめちゃくちゃだ。
とりあえず言うことを一通り言い終え、一息つく。
一通りどころか、色々余計な事を言ったな。
まじで練習してよかった。
本番でこれ言ってたら学年中で笑いものにされただろう。
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