#2.紳士と尾行

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やあ、諸君。私だ。 前回の茶葉とワサビを入れ替えるクダリ、 冗談だと思っただろう? そこをやっちゃうのが私だ。 (あん)(じょう) 妻はブチ切れて、私に硫酸とワサビ茶のロシアンルーレットを仕掛けてきた。 両方死ぬなあとか言いながらクイッと飲み干す。 お、この喉が焼けるような痛みはワサビ茶だな。 直後倒れた私は救急車で運ばれながら考えた。 ワサビ茶ならなぜ鉄製のコップが溶けていたんだ? まあいい。さて、その後の入院中も私は性懲りもなくイタズラを続けたのだが、 先日とうとう妻は怒って出て行ってしまった。 やっぱり硫酸は生ぬるかったとか言っていたな… 血の気が引いてきた。 さすがに私も死にたくはないので、妻を尾行することにした。 ここまでが私が電柱の裏に全裸で隠れている理由だが… え?全裸の説明がないって? 安心したまえ。2回ほど通報されたが無事振り切れたよ。 そういう問題じゃない?そんなことより妻だ。 今日の服装、ワンピースに麦わら帽子だなんて、ル○ィに喧嘩を売っているとしか思えない。 それとも何か?おめかしして男と… 浮気…!? ありえん…!あの清純な妻が浮気など…!頼む!ル○ィに喧嘩を売っているだけであってくれ…! 「ごめん、待った?」 な!?誰だ!?この男、妻に話しかけているではないか…! いや、きっと人違い…じゃない! 妻も笑顔で手を振っているぅぅぅ!! というかこの小説の記念すべきカッコつきの第一声が第三者とは許せん。 後で不慮の事故で死んでもらおう。 それにしてもこの男…悔しいが、イケメンだ。 いや、私のほうが1億、1兆倍イケメンだが、 その中性的な容姿は平均的な日本人男性と比べると顔が整っている… なぜこんな話をするのかというと、妻は面食いだからだ。 根拠はもちろん、夫である私がイケメンだからだが、万が一、ありえるわけがないが、妻の心が揺れるかもと思うと気が気でないのだ。 まあ、イケメンは皆性格が悪いと相場が決まっている。私以外は。 すぐに本性を現して嫌われるだろう。 どれ、観察してみるか。
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