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葵が部屋に来たのは、六波羅に行く時間が迫っているからだった。
眞一は朝食を済ませると律に着替えを手伝ってもらい狩衣に着替えた。
「眞一、似合っていますわ」
華子は直垂を着ており、牛車があった。
「さあ、乗りますわよ」
華子は眞一の背中をぐいぐいと押しながら牛車に乗せる。
そして座っている眞一の上に座った。
華子は小柄なためすっぽりと上に乗っている。
「ふふっ、調度ですわ」
はっはい?
「眞一はあったかいですね」
いや、もう心臓バクバクで全身沸騰しそうですよ
しかも、なんか良い匂いするし…
なんか…幸せだ…
あれ、もしかして今日死ぬんじゃね?
あれか…モテない男への神様からの最後のご褒美かな
「なんか眠くなってしまいそうですわ」
華子は小さくあくびをした。
可愛いなぁ~ ってそうじゃなくて
「どうして牛車なんです?」
「姿を隠すためですわ、何処に誰が見ているかわかりませんもの」
華子はため息をはいた。
「六波羅に罪人に会いに行くのですから、堂々と行ったら鎌倉(北条氏)に睨まれますわ
それと宮方(後醍醐天皇)の方たちに足利は鎌倉を裏切り宮方につくと思われても困りますわ」
なるほど…さすがは足利尊氏…
「でも、一緒に乗らなくても」
「牛車が一つしか用意出来ませんでしたの」
華子は身をよじらせて眞一の顔を見る。
「ちょっと恥ずかしいですわね」
顔を赤くして微笑む。
ほっ惚れてしまうわ!!
眞一は心の中でつっこみを入れた。
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