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「あの、ここは何処ですか」
「ここは京の足利館だよ」
葵が言うには、眞一は高師直に連行されたあと京都にある六波羅探題ではなく、足利館に匿われたとのことだった。
「じつは、日野殿から書状では聞いていましたの」
華子は日野俊基と書状のやり取りをしており、その中で真言宗立川流の僧 文観が時代を変えるために未来から予言者を呼ぶと言っていたそうだ。
「その文観さんには会うことは出来ませんか」
「文観殿に?」
「はい、自分で聞かないと納得できません」
「わかりました、六波羅に使いをおくりますわね」
華子は部屋から出ていった。
聞かなければならない…
納得がいかない、なぜ僕が…
なんで一人で過去に飛ばされなければならないんだ…
「もう、難しい顔して」
葵は眞一の顔を覗きこむ。
「そんな顔してるとしわしわになっちゃうよ」
そしていたずらっ子のように笑うと眞一の頬をつかみぐにぐにと動かした。
あっちょっと、やめてっ
女の子に触られるのなれてないよっ
「ふふっ ちょっとは気がほぐれた?」
「はひっ」
「あなたの部屋に案内するから来て」
葵は眞一の手を掴み立ち上がらせた。
眞一は顔が赤くなっているのがばれないようにうつ向いた。
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