第一回 妖霊星

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北条氏は御家人たちを排除し、身内である御内人で幕府運営が行えるように変えてしまった。 北条一門の所領は増えるが、御家人たちは恩賞や訴訟の停滞、所領分割など経済的に追い詰められていた。 鎌倉を倒す… 良い世を創る… 私に出来るだろうか… 眞一は言った、私が幕府を開くと未来の歴史ではそうなっているのだろう 弟である高国(後の直義)、執事である高師直は幕府を倒すことに賛成のようで眞一の話を喜んでいた 足利家は何か政治的な動きがあるたびに幕府から警戒され窮屈な思いをしてきた。 代々当主は北条家から嫁を取り姻戚関係を持っていた。 足利一門の中には、「北条なんぞに服従する事はない、我らは源氏の嫡流」、という思いがあり不満を募らせている者たちも多い。 また、近頃では祖父家時、兄高義の死により反北条の感情が高まっていた。 私は…北条が憎い… だが、憎しみだけで北条に反響を翻すのでは誰も着いてこない、それに自分の行動一つで多くの人を不幸にしてしまう… 今のままでも何も不自由はない… 答えは出ない。華子は暗い天井を見つめた。
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