第一回 妖霊星

12/17
前へ
/163ページ
次へ
部屋に戻ると律がおり、膳と着物が用意されていた。 膳には玄米飯とすまし汁、野菜の漬物が乗っている。味付け用の醤がついており、それをつけて食べる。 「おかえりなさいませぇ」 律は平伏した。 「うん、ただいま」 「あの、うちに貴方さまのお世話をさせて下さいませんか」 「えっ、どうして」 「うちは初めて偉い方のお世話を仰せつかりました 覚悟は出来ておりますので、どっどうぞ律を弄んで下さいまし」 律は顔を真っ赤にして帯を緩めはじめた。 「ちょっ律さん、早まらないで」 「うぅ~、律には男の股ぐらを盛り上げる魅力がないのですね」 「違うよ!!」 なっなんなんや…この娘は… 眞一は律に自分は良く知らない女性は抱けない、夜の世話なんてしないでほしいことを伝えた。 「はい、あの、では食事や身の回りのお世話は」 そうだ…僕は何もこの時代の生活はわからないんだよな… 「うん、お願いします」 「はっはい、頑張ります」 律は嬉しそうに笑った。 「あれっ、なんで律が眞一のところに?」 葵は不思議そうな顔をして部屋に入ってきた。 「高様に眞一さまのお世話をせよと命じられました」 律は笑顔で答える。眞一は気恥ずかしさを覚え頭をかいた。 「眞一、良かったね 律は炊事洗濯何でも出来る器量良しだから」 「そんな、葵さま…照れます」 律は両頬に手を当ててうつ向いた。
/163ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加