第一回 妖霊星

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「若殿様、着きましたぞ」 「眞一、降りますよ」 華子は腰を屈め立ち上がる。眞一もそれに続いた。 館の中に入り、牢屋に案内される。 「ご苦労、これを」 華子は案内した牢番に紙包みを渡した。中には銭が入っている。 牢番は華子に一礼するとその場を去った。 「あなた様は」 文観は格子に近付いて来た。 「足利治部大輔高氏でござる」 「おいで頂き感謝いたしまする、いや、お噂に聞く美しさでございますな」 文観の世辞に華子はにこりと微笑むと眞一に視線を移す。 「おぉ、あのおりの未来人ではないか」 「文観さん、僕は貴方に聞きたいことがあります」 「なんじゃ」 「なんで僕がこの世界に呼ばれたんですか」 眞一の声は震えていた。
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