第一回 妖霊星

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眞一は六波羅探題の一室にいた。 文観は未来人を呼び先の歴史が知りたかった、倒幕に勢いをつけたかっただけであり、タイムスリップしてくるのは誰でも良かった。 自分でも未来人を呼ぶことが出来たのは驚きであり、またいた時代に戻す方法は知らないとのことだった。 前日から頭の片隅にあった嫌な予感は当たった。現実にそれを突きつけられてしまった。 涙が溢れ頭が真っ白になった。 何も考えられない。 もう訳がわからない。 「眞一、眞一!」 振り向くと後ろには華子がいた。 「はい…」 眞一は涙でぐしょぐしょの顔で振り向く。 「貴方がこの世に呼ばれた意味はありますわ」 意味…僕が、何が出来る 「あなたは、私と生きるためにこの世に来たのです」 私と…生きる? 「あなたは足利家当主、この高氏を導くために未来から来たのです」 導く…僕が… 「胸を張りなさい、あなたはこの世に来た意味があるのです」 「はい…」 喉から絞り出すように声を出した。 声を出すと、ふと意識が正常に戻ってくる。 「さあ、帰りますわよ」 華子は嬉しそうに微笑んだ。
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