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「着いたぁ…」
眞一は自分の部屋だと言われた場所に着くと床に大の字になった。
京都から鎌倉までの十五日間、眞一にとっては地獄のような日々だった。
身体中筋肉痛である。だが、本当は十二日ほどで着くところをゆっくり移動してくれたらしい。
馬に乗れればよかったのだが、乗れないのだから歩くしかない。
律が終始はげましてくれなければ道の真ん中で大の字になって抗議していただろう。
「もう、だらしないぞ」
葵は寝ている眞一の横に座り足を伸ばした。
「僕がいた時代はこんなに歩かないんだよ」
なんで車、いや電車で行くような距離を歩かねばならんのか…
まったく腹立たしい
「はい、お水です」
律は眞一と葵にお椀を渡した。
「ありがと」
半身をお越し水を飲む。身体が生き返る心地がした。
「眞一は身体を鍛えた方がいいよ」
葵はごくりと水を飲み干す。
「う~ん」
まあ、たしかに…
このままの体力では鎌倉時代を生きて行くのはつらいな
運動は嫌いだが仕方がないか…
「聞いてなかったけど、眞一は弓か剣は…
うん、使えないよね」
葵は眞一の疲れきった姿を上から下まで見ながら言う。
やめてっ、そんなにじろじろ見ないでぇ
「眞一?」
「あっ、うん、まったく」
危ない…美人にじろじろ見られただけで思考がタイムトリップしてしまった
「あたしが教えてあげる」
葵は眞一の顏を覗き込み微笑んだ。
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