第二回 鎌倉

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「う~ん」 起き上がり腕を伸ばすと筋肉痛独特の痛みが走った。 昨日は疲れていてよく眠れた。 「失礼いたします」 障子を開けて律が入って来た。 「眞一さま、おはようございます」 「おはよう、律さん」 眞一が返事をすると律はにっこりと笑う。 あぁ…朝からこんな可愛い子が起こしに来てくれるなんて… 「どうかしましたか?」 律は小首を傾げ眞一を見つめる。 「律さんに起こして貰えて幸せだなって」 あれ?僕らしくない…なんでこんな照れくさいことを言ってるんだ… 「まあ、もう…恥ずかしいです」 律は顔を真っ赤にして両頬に手を当てている。 かっ可愛いなぁ~ 「そっそんなに見ないでください」 律はくるりと後ろを向いてしまった。肩ぐらいに結んである長い髪が揺れる。 「えっあ、その」 なにそのリアクションっ、男を喜ばせてんのっ 「律さん、機嫌なおして」 「はっはい…」 律は赤い顏で振り返った。 やばい…何を話かければいいんだ? あ~変な間が空いてしまった… 気まずいよぉ~ 「あっあの、着替えをお持ちしました」 気を利かせて律から口を開いてくれた。 「ありがとう」 着替えには小袖と袴が入っている。直垂(ひたたれ)を最初は用意されたのだが、武士とは言えない自分が着るのには抵抗があった。(鎌倉時代ではまだ直垂は格式が高い服ではありません 武士階級では広く着られていました 直垂が儀式用の服に用いられるのは江戸時代からです)
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