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日野俊基、後醍醐天皇の倒幕運動に尽力した人物である。
諸国を巡り反幕府勢力を集めていたが正中の変(正中元年1324)によって六波羅探題によって捕縛される。だが処罰は逃れ京都へ戻り、再度倒幕運動に身を置いていた。
「日野さん!逃げないと!」
「なんや大きな声出して、びっくりするやないか」
「あなたは元弘の変で捕まるんですよ!」
外からだろうか。自分たちがいるこの建物の回りを囲むように鎧同士が擦れる音がする。
「日野殿、まずいですぞ」
僧体の男は扉に駆け寄る。
それと同時に扉が開いた。
「我は足利治部大輔高氏が執事、高五郎師直なり。鎌倉殿調伏の疑いにて御貴殿方には鎌倉にまでご同道頂きたい」
いかつい顔をした大鎧をつけた男の後ろには、大勢の胴丸をつけた男たちの姿が松明の炎に照らされて見えた。
暗闇に映るその姿は恐ろしく威圧される。
「足利殿の家来なんやな…足利殿に会えへんやろか」
「今夜は遅いゆえ、明日になりまするが、よろしいですかな」
「ああ、もちろんや」
日野俊基は強く頷いた。
「六波羅までお連れいたす」
いかつい顔をした男は一礼する。日野は力なく扉に向かい外に出た。
「未来から来た男よ、お主がこの世を変えてくれると信じているぞ」
僧体の男は眞一に言い、他の男たちと共に連れていかれた。
「お主、見たこともない不思議な格好をしておるな」
いかつい顔をした男、高師直は眞一に近く。
「えっあの」
「しかも未来から来たとな」
「まあ、そうみたいですね…」
「お主も明日、若殿に会わせてみるかの」
「若殿?」
「連れていけ」
「えっえぇっ」
眞一は胴丸を着けた男たちに両脇を捕まれた。
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