第一回 妖霊星

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鳥のなく声がする。 眞一は身体を起こした。 朝か… 回りを見渡せば板張りの部屋で壁には明かり取りの窓がある。 窓から入る光が薄暗い部屋を照らす。 木の格子が対面には付いており外には出られない。 昨日の夜、館に連行された眞一は牢屋に入れられた。 泣き喚き、喉が枯れてしまうほど叫んだが何も状況は変わらなかった。 本当にタイムスリップしてしまったのだろうか… だいたい何で牢屋に入れられなければならないんだ。 拉致監禁だ。犯罪である。 携帯電話の画面を見るが電波はない。電話もかからない。通信、通話不能。 もう泣きそう…というか泣く。 「朝から泣かないで。若殿はあなたを殺したりしないよ」 格子の外から少女の声がする。 涙で溢れた眼を擦り、顔を向けるとそこにはセミロングの美少女がいた。 後ろの髪は中央で纏めてあり、黄緑の紐で縛ってある。 「ねぇ、本当に未来からきたの?」 「はい。自分でも信じられません…」 「そうなんだ…私も信じられないけど、その不思議な服を見ると私がいるこの世とは違うみたいだね」 少女は眞一の洋服をまじまじと見た。 眞一は水色のYシャツに黒いジーンズを着ている。 「あなた、名前は」 「長岡眞一です」 「あたしは宇都宮四郎高貞、足利家で居候してるの」 そう言って少女は微笑んだ。
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