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「何やってるんですか!」という斎藤の声に、早川は目の前で起こっていることにようやく意識が向いた。
キツネは取り出したカッターナイフで何度も自分の左手首を刺していた。
それを斎藤が必死に止めようとしており、白衣に血がついていた。
何度か手首を突き刺したあと、斎藤にカッターナイフを取られたキツネは首を傾げる。
「いやいや、斎藤さん。先生から許可もらってますから。10時と15時だけ、自傷行為できるって」
「は・・・?」
呆然とする斎藤の手から、そっとカッターナイフを取り戻すキツネ。
「ほんとはもっとしたいんですけどねー。この病院じゃ輸血が難しいって言われたから、仕方なく時間を決めてるんですよ」
そういいながらキツネは今度は右手首と右肩にカッターナイフで傷をつけていった。
「わけがわからない・・・」
ようやくそう呟いた早川に、キツネは言った。
「僕、狂ってるらしいから」
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