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「早川さんは僕に興味はなさそうですね」
ふふ、と笑い声をあげる。お面で隠れてても、微笑んでいることがわかる。
「そうですね、まぁ、あなたが今まで生きてきたことに関して、肯定する気も否定する気もありませんよ。ただ、自傷行為を容認する医者には小一時間程、話をさせて頂きたいとは思っていますが」
傷口の保護まで終わり、早川はややぐったりした様子でキツネを見る。
「それでは、院長先生とお話ししなくてはいけませんね」とキツネが笑いながら答える。
「それじゃあ、やめときます」と、早川は心底嫌そうな表情をする。
そんな早川を見て、キツネはさらに楽しそうな声を出す。
「素直な方ですね。僕、素直な人は好きですよ」
「あなたに好かれても嬉しくも何ともないんですが」と、早川が先ほどより、嫌そうな顔をすれば、キツネはケラケラ笑い声をあげる。
「あらら、振られてしまいましたね。こう見えても、僕けっこうモテるんですよ。今まで告白して振られたことなかったんですが」
「だったら早く退院して、彼女でも作ったらどうです?」と嫌味ったらしく早川が言えば、「セフレならたくさんいますよ」とキツネが答える。
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