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気に入られたとしても、それはどう考えてもただの暇つぶしの相手くらいだろう、と早川は思った。
「でも、明日もあの人の相手するのって嫌じゃないですか?自傷行為許されるってどういうことだと思います?」
「さぁねぇ。院長先生と繋がってるんなら、なんともねぇ」と返す斎藤。
そもそも患者の命を守るべき看護師が、患者の自傷行為を見守るだけというのも嫌な感じがする。
「10時と15時って言ってましたっけ?」と確認する早川。
「確かそうだったと思うよ。でも呼ばれるまで待機って言われてるからどうしようもないよ」と斎藤がため息をつく。
斎藤だって、何度か介入できるか考えていたのだろう。
ただ、余計なことをして後々問題になることも面倒だと考えているようだった。
もうすぐ定年退職をする身としては最後は何の問題もなく過ごして終わりたいのだろう。
「だったら、私が何とかしますよ。ここから追い出されても、どっかで仕事見つけりゃいいんですから」と笑って返す。
「早川ばっかり頑張っても駄目だからね。きつい時はすぐに言うこと。わかった?」
「はい、よろしくお願いします」
二人はどうにか自傷行為を止められないか、しばらく話をしていたが、結局良い案は出てこず、いったん帰路につくことになった。
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