依存

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早川の家は病院から車で10分ほどの所にあった。 一人暮らしを初めて5年。 はじめは部屋もきれいにし、料理も頑張っていたが、月日が経つにつれ、服は脱ぎ捨て、物が散乱し、コンビニ弁当で済ます日々。 実家は他県であるため、家族の誰かが遊びに来ることはほとんどない。 ただ、今日は違っていた。 家の窓から明かりが漏れていた。 「誰か来るって言ってたかね?」 と自問自答しながら、携帯をみるが誰からも連絡が来ていない。おかしい、と思いつつも以前実家に帰った時に部屋が散らかっていることがばれ、抜き打ちでチェックしに行くから、と母親に怒られたことを思い出す。 「部屋めっちゃ散らかってんですけど」 来てるのが母親なら怒られるだろうな、と思いながら恐る恐る部屋のドアをあける。 「ただいま~」と小さい声で扉を開けると、見たこともない靴が置いてあった。新しい靴でも買ったのかな?くらいにしか考えず、ゆっくりと部屋に入る。 「ようやく戻ってきましたか」 「は・・・えっ・・・」 見ると、リビングに居たのは今朝見た女性だった。 「それにしても汚い部屋ですね」と馬鹿にした笑みを早川に向ける。 「今朝は名前も名乗らず、ノックもせず失礼いたしました。わたくし、マネージャーのリッカと申します」 そういって名刺を差し出された。 そこには事務所の名前、マネージャー、「六花 ざくろ」と書かれてあった。 「はぁ」とそれを受け取る早川。 「すいません、名刺を持ってないんですけど」 「あぁ、そちらの情報ならすでにあなたの上司からいただいているので大丈夫です」 「はぁ」 さすがの早川でも、相手に不信感を持った。 勝手に家に入り、個人情報まで上司からもらうなど、ただ事ではない。
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