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「というわけでね」と残された師長が早川と斎藤に声をかける。
「患者は部屋も少し離れたところ・・・というより、違う棟にいます。コールは専用コールがあって、これを二人には使ってもらいます」
と院内携帯を二つ取り出し、早川と斎藤に渡す。
「これがなった時のみ、患者の対応をお願いします。患者の場所は、外来棟の横にある、学生寮の3階にいます。二人は今後、勤務時は学生寮の1階に待機でお願いします」
外来棟の横には旧看護学校の学生寮がある。3階建てで、研修にくる学生が時々使用している。
そこに待機しろ、というのは最早仕事ではないのでは?と思えてくる。
「患者はすでに部屋に入っているので、二人も移動をお願いします」
それでは、と師長もそそくさと部屋から出ていく。
「何が何だか・・・・・・」
渡された紙を呆然と見ながら、斎藤が呟く。二人とも頭が追い付いていない。
「とりあえず、移動ですか?」
「そうね」
「斎藤さん・・・」
「何?」
「私の理解力が追い付かない」
「大丈夫、私も追い付いていないから」
二人は頭を抱えつつ、学生寮に移動した。
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