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「……一つ」
と、ここでスペードの歩みが止まる。伝え忘れたかのように再度風魔へと振り返ると、その眼を尖らせて口を開いた。群青の髪は無風状態というのに煽られ、幻覚かのように青いオーラが漂っている。明らかな威嚇だった。
「血を重んじるあなた達だが、今後希理恵を使う際には俺を通してもらいます。彼女はこの国であなた達に何をさせられたのか、お忘れでないでしょう」
強制的な房中術の教えに堪えられず、拷問の際に同志を殺したハート。その駆除を依頼したのはCBBSの少年、スペードであった。逃げ惑う彼女を追い詰めた彼は、その瀕死の状態でシンカビトの血を分けた。
風魔 小太郎の子孫であるハートは準シンカビト。血が適合した後の彼女は内密にCBBSに引き取られるようになる。彼らの関係も紆余曲折あるが、それはまた別の話。
「風魔 希理恵は風魔のものではない。カイ・ローレンツの女だ。次またあいつを道具のように扱ったら……その時はお分かりでしょう」
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