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「な、なによぉ、何か企んでるの?あんなこと言って……」
「事実を述べただけだ。主に従え、帰るぞ」
「は、はぁい……ご主人様」
人前で裸になることを恥じず、主の純粋な言葉で恥じるとは、面白おかしいものだった。彼女は純粋に弱いのだ。
セレネに会釈した後はスペードの背を追うようにして去っていく。幸福そうに歩く姿はコードネームの通りハートを飛ばしているかのようだった。
「主とペット……ねぇ。アイツとリンネもそんな感じだったのかしら」
ボソッとセレネは呟いた。もしシッドが生きていれば、主のために危害を加える者の惨殺を辞さないリンネが常に隣にいる。そんな光景を想像してみると面白いものだった。
セレネはシッドの恋人である。
表向きは、だが。
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