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杉本の目の前で、武田が青く光った。
いつもいつも、武田は仕事をしていた。
自分の告別式が終えた後も。
首元に、首を吊った青黒い跡を残したままで。
ガリガリに痩せた体のままで。
その上司が、やっと眠る事が出来る。
知らぬ内に杉本の目から涙が溢れていた。
「武田さん……っ!
もう、もう休んでいいんですよ!」
ずっと声をかけても届かなかった。
それがやっと届いたようだ。
パソコン画面から目を離した武田が、しっかりと杉本の方を向いた。
「……杉本……?」
ゆらり
揺れた後、パソコンの電源を落とした時のように、武田は消えた。
顔を乱暴にシャツで擦り上げ、杉本は尊敬する上司の為に手を合わせた。
「……おやすみなさい……」
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