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振り返らなくても、それが誰の声かなんてわかり切っていた。
「楢崎くん?
それってどういう…」
センター長がその忠告に反応して楢崎くんに尋ねた。
「隣の彼女です。
具合が悪そうなので、帰らせてあげて下さい」
淡々とした口調で、楢崎くんはそう言った。
私は彼を直視することができず、俯いていた。
「え?
具合悪いって……ごめん!白河さん、そういえばさっきも…」
神谷センター長はハッとして私の方を覗き込むと、申し訳なさそうにじっと見つめた。
「ごめんね…僕としたことが気づけなくて。
プレゼン前に見抜けていたら…本当にごめん。今日はもう…」
自分のせいだと責めるセンター長を見るに耐えられなくなって、勢いで顔を上げると首を大きく横に振った。
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