584人が本棚に入れています
本棚に追加
私は俯きながら、平静さを取り戻すことに必死だった。
大丈夫…。
呪文のようにそう繰り返し唱えた。
最寄り駅までほんの数駅。
それまで耐えることができれば…もう、きっと大丈夫…
安易に安心したその時だった。
「ひっ」
その瞬間、電車が激しく揺れた反動で、雪崩のように人が倒れ掛かってきた。
全身の血の気が引き、急激に動機が激しくなる。
蘇る恐怖に青ざめ、背筋に氷を当てられたように身体が震え出した。
最初のコメントを投稿しよう!