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「どういうつもりだっ」
学園祭とあって外部からの来客も多く、にぎわいをみせる校舎の片隅で、人の目を気にして声を抑えながらセイヤは目の前の男を睨みつけた。お客にお茶を出していたところを、突然やってきたマサルに強引に連れ出され、人気のない準備室に連れ込まれてしまったのだ。
「委員長がぜんぜん俺の相手してくれないから、ちょっと焼きもちやいちゃった」
セイヤの怒りなど気にもせず、マサルはひょうひょうと笑顔で答える。
「男子校でメイドカフェとか気持ち悪いだけだと思ったけど、委員長だけすごい似合ってて天使みたい」
「そんなこと言われてもうれしくない!」
思わず大きな声が出てしまい、セイヤはあわてて口元を押さえた。クラスの催し物だとしても、メイド服を着て男と二人きりで教室にいるところを誰かに見られるのは嫌だ。
「ねえねえ、このスカートの下ってどうなってるの?」
そんなセイヤの気持ちにおかまいなしに、マサルはスカートをめくり上げようと腕を伸ばしてきた。
「ちょっ、やめろっ」
その腕から逃れようとあわてて体を仰け反らせたセイヤは、机にかけてある白布の裾を踏みその場にしりもちをついてしまう。
「あらら。もう、委員長はほんとあわてんぼうだね」
クスリと笑い、マサルは目の前にしゃがみこみセイヤの顎をとらえた。
「どうしてそんなに俺のこと怖がってるの?」
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