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四月六日。
本日は快晴です。
桜はもうあまり残っていないけど、新しい一年が始まる期待からかどこかみんなふわふわしていて頭に桜が咲いてるみたい。
いやいや、みんなをバカにしてるつもりはありません。 私の頭の桜はもうとっくに散ってるし……というか多分、咲いてすらいない。
「名前は……あ、またA組一番……」
クラス表で自分の名前を探すドキドキも私は味わえないのか! と叫びたい。
私の名前は一番最初に見るA組の一番上に記載してあった。
池崎 そよ子(イケザキ ソヨコ)。
今日から高校二年生になります。
「きゃー! ねえ、同じクラスだよ!」
「マジだ! ヤバい!」
「サイアク~仲良い子誰もいない…」
「ウソ? うちのクラス遊びくればいいよ」
「うわ! 小林さんと同じクラスだわラッキー!」
「ハァ!? ズルいぞお前!」
クラス表の前は、同級生達の様々な反応で溢れ返っているのに、私にはそれを共有する人がいない。
「あ、そよこー! 何組だった?」
ボケーっとしていると、急に声をかけられる。一年のときに同じクラスだった子だ。
「私はまたA組の一番だよー。二年連続なんだけど~~!」
そう言いながらへらっと笑ってみせる。
「そうなんだ! あたしはC組だから離れちゃったねー! まぁ二年生になっても仲良くしようね!」
それだけ言うとすぐに去っていく。
仲良くしようねって……絶対思ってないだろ!
いやいや、文句を言っても仕方がない。
これは自業自得だからで、相手の女の子は何も悪くないのだから。
私は人付き合いが下手くそだ。
別に暗いわけでも地味に過ごしてるつもりもない(と、思ってる)。
けど、今まで誰とでも仲良くできるかわりに、親友と呼べる人ができたことは一度もない。
ずーっとそうだ。クラスではいつもいくつかあるグループ全部に適当なタイミングで入っていた。
それはつまり、結局はどこのグループにも属してないわけで。
だからといって、みんなも私がグループに入るのを嫌がってきたりもしなかった。
私は「いてもいなくてもどっちでもいい」存在だったんだと思う。
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