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「めんどくさ……」
今から学校にまた戻ることを思うとテンションが下がるどころの話じゃない。
でも携帯が一日手元にないのも落ち着かない。
今日は時間があるから帰ったらネットショッピングしたりアプリしたりといじりたおす予定だったので尚更だ。
「でも家帰ってから気づくより今気づいてよかったか……」
物事を無理矢理ポジティブに考えることは得意だ。
携帯はやはり机の引き出しの隅っこに忘れられていた。
あってよかったという安心と、家に帰ったらいじりまくってやるからなというS心で携帯を撫でまくった後、今度はきちんとブレザーのポケットに入れて教室を後にする――――つもりだった。
「……はっ!」
気がつくと私は教室の自分の席に座っていた。
「うそ!? え!?!? 寝てた!?」
窓から見える空の色はもう青くなく、ギリギリオレンジくらいの色をしている。
あのまま私は教室でちょっとだけ携帯アプリをするつもりが、なんとしてる途中で寝てしまっていたのだ。
なんて無駄な時間。
夜眠れなくなって明日の朝がツライところまでもう想像出来る……!
「帰ろ……」
お母さんとお父さんには友達と寄り道してたとでも言えばいい。うわ、なんか虚しい嘘だなぁ。
お腹も空いた。なんでもいいからもう早く帰りたい。
そう、そのまま、すぐに帰るはずだった。
「…………?」
もう生徒の姿がほとんど見当たらないこの日のこの時間に、たまたま体育館から聞こえるシューズとボールの音に興味を持ってしまった。
いつもなら何も気にしない。
部活頑張ってんなー。
青春してんなー。
私も部活やればいいかな?
やっぱめんどくさい。
こんな感じで、つまり全く興味なかったのに。
何故かこの時は、体育館に呼ばれているかのように足が動いた。
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