0人が本棚に入れています
本棚に追加
「見て。この子可愛い」
営業終わり、深夜のラーメン屋。
眠らない街という異名を持つだけあって今宵も歌舞伎町は騒がしい。
ガヤガヤと談笑の声が飛び交う狭い屋内で、同僚が差し出したのは自身の携帯電話だった。
「何?」
俺は麺を啜りながら目だけを動かす。
またこいつは、どうせしょーもないSNSやアプリを使って女漁りでもしてるんだろ。
今まで何度可愛い子発見の報せを聞いてきた事か。
期待は全然していなかったけれど、視界に写った画像を見て俺は度肝を抜かれた。
ぱっちりした二重の猫目に、明るい茶髪を緩く巻いたロングヘア。
鼻筋の通った小さい鼻にシュッとした顎先――それでいて、若干丸みのある頬が愛らしい人形のような容貌の女の子。
唇に塗られた薄いピンク色の口紅が幼く見える顔に微かな色気を加えていて、正直かなり……
「可愛い」
気付いたら声に出ていた。
最初のコメントを投稿しよう!