駆け巡る灯

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『なんじゃこれは。走馬灯か何かか?』 それならそれとして何でこんな記憶なんだ。てんで頭の理解が追いつかない。 考えを巡らせようとすると、また風景が変わり始まる。 今回は少し暗めに滲んで淀んで微睡んで。 気づけばそこはとある一室へと変わっていた。 走馬灯にしては覚えがない部屋で、窓の外は真っ暗になっており室内は備え付けのランプの灯りがついてるだけで薄暗い。 『ホテルの部屋かの?』 部屋の中には二人、これもまた若い頃の儂とばあさんがいた。 20代ごろのときか、ばあさんの髪はだいぶ長く伸びている。 その表情はどこか穏やかで、それでいて幸せそうにベッドに腰掛けている。 一方若い頃の儂もベッドから少し離れた椅子に座って、缶ビールをちびちびと飲んでいた。 「いよいよ明日だね、結婚式」 「……そうだな」 どこか感慨深そうに話す二人。その言葉を聞いて、ふと記憶が蘇る。 思い出した。結婚式の前日は式場の近くにあるホテルに泊まっていて、ここがそうだったのだ。
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