夕暮れの通勤電車で。

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ミーミー ホームに突っ立ったままの俺の足に温かく小さな生き物がまとわりつく。 ミーミー 白い子猫は嬉しそうに頬を擦り付ける。 「どうしたんだ?お前の仲間の匂いでもついてか?」 獣医という仕事は、時に動物に嫌われる。 消毒や注射……そりゃ、あいつらにとっちゃ俺は嫌なやつに違いないだろう。だけどやはり嫌われたら悲しいし、こうやってすり寄られると嬉しい。 俺はじゃれつく子猫に視線を合わせようとしゃがみこんで手を伸ばした。 ミーミー 突然、走り出す子猫。 「おい、ちょっと待てよ」
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