夕暮れの通勤電車で。

4/10
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
子猫は改札を通り抜ける。 俺も改札を通り抜ける。 子猫は右に曲がる。 俺も右に曲がる。 見失いそうになるが、その度に子猫は立ち止まって俺を見る。 子猫は細い道をひたすら進む。 俺も細い道を体をぶつけながらもなんとか進む。 「っ……まぶしっ……」 右へ左へ縫う様に路地裏を抜けていくと、突然開けた視界に広がる光に一瞬視力を奪われた。 大きな川に夕陽が反射して、土手から眺めるとオレンジ色の川に見える。 慌てて周囲を見渡したが、子猫の姿はもうなかった。 ……なーにやってんだ、俺。 知らない駅で子猫追っかけたりして。 これは相当疲れてるんだな。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!